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ユーザー車検に行く前に、整備工場として知っておいてほしいこと

執筆:株式会社たま(関東運輸局長認証工場)(神奈川県二宮町)

このサイトは「自分で持ち込めば法定費用だけで済む」と、どのページにも書いています。それは本当です。だからこそ、整備工場の側から、行く前に知っておいてほしいことを先に書きます。止めたいのではなく、分かったうえで選んでほしいからです。

1. 車検に通る = 車が大丈夫、ではない

車検で見ているのは「その日、その場で、他人に迷惑をかけない最低限の状態か」です。ブレーキが効くか、ライトが基準の向きで光るか、排ガスが基準内か、タイヤの溝があるか。それだけです。次の2年間もつかどうかは、誰も見ていません。

整備をしないまま通せば、法定費用は安く済みます。でも車の状態は、検査場に入る前と何も変わっていません。ブレーキパッドが残り2mmでも、バッテリーが弱っていても、ブーツにひびが入りかけていても、その日通れば合格です。

2. 「ここを直して」と言われたとき、そこだけ直すのは割高

検査で落ちると、検査員は不適合の箇所を教えてくれます。ただ、直してくれるわけではありません。

結果として、整備工場に最初から頼んだ場合と大差ない金額を、時間を余分に使って払う人が一定数います。

3. ヘッドライトテスター、サイドスリップ、排ガス。数値は見ても分からない

落ちる理由の多くは、目で見て分かるものではありません。光軸が何cmずれているか、タイヤの向きが1m走って何mm横にずれるか、排ガスのCOとHCが基準の何倍か。検査場の掲示板に数字は出ますが、原因がどこにあって、何を触れば直るかは、数字からは分かりません。そこを知っているのが整備士の仕事です。

4. ただし、車検で整備したから壊れない、というわけでもない

ここは整備工場として正直に書きます。整備工場で点検して整備しても、壊れるときは壊れます。人間の体と同じで、点検は「今分かる範囲の異常を見つける」ものです。コンピューターの基板のはんだ1か所が浮いているかどうかを、顕微鏡で1つずつ見ているわけではありません。

整備は「壊れる確率を下げる」もので、「壊れない保証」ではない。だから「整備工場に頼んだのに壊れた」と言われると、工場の側は苦しい。でも「点検していれば見つかったはずの異常」で出先で止まるのは、点検した車のほうが確実に少ない。それだけの話です。

向いている人・向いていない人

ユーザー車検が向いている整備工場と一緒に受けたほうがいい
車の状態を自分で把握している(ブレーキの残量、タイヤの溝、油脂の漏れを自分で見られる)車検を「車の健康診断」だと思っている
24か月点検を別に受けている、または自分でできる点検は車検のときにまとめて済ませたい
平日に半日〜1日、検査場に行く時間がある。落ちてももう1日使える休みが取りにくい。1回で終わらせたい
光軸・サイドスリップで落ちたときの対処(テスター屋)を知っている落ちたときにどうすればいいか分からない
年式が新しく、前回の車検からの整備記録がある13年超、走行距離が多い、前回の整備内容を覚えていない

右側に当てはまる人は、法定費用に基本料を足してでも、点検と一緒に受けたほうが結果的に安くつくことが多いです。24か月定期点検は法律上の義務でもあります。

中間の選び方もある

それでも自分で行く人へ

  1. 検査場(登録車は運輸支局、軽は軽自動車検査協会)をネットで予約する。
  2. 持ち物:車検証、自賠責証明書(新旧)、点検整備記録簿、(必要な場合)納税証明書、法定費用の現金。
  3. 前日にライト・ウインカー・ブレーキランプ・ホーン・ワイパー・タイヤの溝・発煙筒の期限を自分で確認する。
  4. 検査場近くのテスター屋で光軸とサイドスリップを先に合わせておくと、落ちる確率がかなり下がる。
  5. 落ちたら、その日のうちに直せるものか、後日にするかを検査員に聞いて決める。

法定費用は 車台番号で照会 すれば1円単位で分かります。受ける時期は 受検タイミング計算機 で。